Adventures in Wonderland
ワタシヲオノミ

10.02.2012@

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

(0) cmts.  (0) tbks.  -

04.24.2011@00:45

エマ・チチェスター・クラーク(Emma Chichester Clark)の絵本



なかなか覚えられそうもないナマエ・・・、エマ・チチェスター・クラーク。

前年に出版された雑誌・絵本・イラストレーションブック・ブックカバー、ジャケットのイラストレーションの中から優秀な作品を選出するコンペは、ヴィクトリア&アルバート美術館のBook Illustration Award があります。

この作品「不思議の国のアリス」が、そのコンペに応募したようです。



この場面は第6章で、ブタのおちびさんがいる屋敷の蛙のようなお仕着せ姿の従僕と、書状を手にやってきた魚のフィッシュ従僕。アリスは木陰からこの様子をみているところ。

記事 不思議の国のアリス 第6章

この章で、チェシャ猫が登場する。紹介のリンク先は写真家アニー・リーボヴィッツ、ジョン・テニエル、アーサー・ヒューズほかのイラストがいっぱいです。




ハートのクイーンが首を撥ねろと叫ぶ場面?

とっても難しい記事ですが、いろんなことが書いてあるので読んでみて。
記事 ルイス・キャロル アニー・リーボヴィッツからユークリッドへ





エマ・チチェスター・クラークの絵本には、Book Illustration Award に「不思議の国のアリス」をコンペに選出されたっていうことで、どんなものかと見てみたかっただけ。

他の作品をみると、どちらかというとワタシむきじゃなかった・・・。

その中で、お話は気球に乗って(Bambert's Stories : Princess of Cordoba) は洋書だけど推薦しちゃう。


Emma Chichester Clark


ラインハルト・ユング(Reinhardt Jung)が著者で、物語は作家のバンベルトが今までに書いた物語を封筒にそれぞれいれて、気球につけて世界中に飛ばすのです。これは物語がいい。

11の物語。

そのなかでスペインの「コルドバのお姫様」が左側。お姫様は結婚相手を決めるところ。この11の物語を読んで、最後にわかる。



 

あ〜、ワタシ、KAFKA&aleiさんの記事を見過ごせない。

記事 KAFKA ローレン・チャイルドのクラリス・ビ〜ン リバティがいちばん!?
記事 KAFKA デビッド・マッキー ミスター・ベンの赤い鎧とリバティプリント
記事 KAFKA リバティ プリント ジェーン・レイの童話 Jane Ray at Liberty
記事 alei ブライアン・ワイルドスミス Brian Wildsmith

エマ・チチェスター・クラーク(Emma Chichester Clark)の絵本からも、リバティのファブリックのプリントになってる。

しかも絶対趣味じゃない絵本になってる・・・。






クリックしてもらうと絵本の中身がわかるようになってる。この「Eliza and the Moonchild(イライザとムーンチャイルド)」は、地球人と月のの子供のお話。ホント、火星人とかっていうカンジ。

リバティのHPから引用すると・・・
“イライザは筆に紫の絵の具をたっぷりと付け、木々に飛び交う5羽の蝶を描きました。
「気に行った?」とイライザは尋ねました。
「大好き!」とムーンチャイルドは答えました。”

もっといい絵本もたくさんあるんだけど・・・。
エマ・チチェスター・クラークの絵本 作品一覧



 

そのイライザとムーンチャイルドの会話からリバティプリントができあがったそう。そのプリントのストーリーイラストはリバティから見てください。




Emma Chichester Clark at Liberty


ファブリックはとっても楽しそうなイメージだけれど?今年は結構、アマカやエリオポールでブラウスとか商品化されているけど。

LIBERTY PRINT 2011 spring & summer style1 Tatum



宝島社のムックでは、柄を選べる付録として、リバティのジップ付きトートが!記事下の商品レビューからどうぞ。





コメント:小さな身体の作家が物語りを気球に乗せて世界中へ届けるのだけれど、最後の最後まで読むと、その物語の謎がわからない。洋書だけれどリバティプリントにもなったエマ・チチェスター・クラークの絵も面白いです。子供向けの邦訳は「お話は気球に乗って」です。読んだことあり�

コメント:児童文学賞受賞の絵本作家たちも活躍しているリバティプリント。エマ・チチェスター・クラーク、デビッド・マッキー、ジェーン・レイの童話、ブライアン・ワイルドスミスが2011年SSで図柄になっています。

(0) cmts.  (0) tbks.  文学

06.22.2010@13:15

トリポリの姫君イルゼ

Ilsee Princesse de Tripoli, 1897



2007年のこと。ミュシャの「トリポリの姫君イルゼ」の挿絵画集がスワンギャラリーでオークションにかけられたらしい。

ミュシャの挿絵の「トリポリの姫君イルゼ」の古本。

でも「挿絵画集」ではなくて・・・、

 ロベール・ド・フレールの「トリポリの姫君イルゼ」の挿絵。

挿絵といえばミュシャは「クリオ」、「アダミテ」っていうのがある。

手彩色の「挿絵画集」と違って、紙質も悪く残念な感じなんだけれど・・・。138枚は掲載できないからほんの少しだけで・・・



ロベール・ド・フレール「トリポリの姫君イルゼ」 挿絵 ミュシャ


 
 







どこまでみても、アール・ヌーヴォーなんだけれど、あの英国のウィリアム・モリスの本を思い出してしまう。

ラファエル前派は英国のアール・ヌーヴォーではなかったけれど、花のモチーフなんかがモリスのタペストリーの図案なんか思い出したワタシ。

ラファエル前派、モリスの装飾よりアール・ヌーヴォー、アール・デコが好みだけれど、画家としての作品で考えると、「スラヴ叙事詩」の大作は見事だと思うけれど、ミュシャもラファエル前派もそんなにワタシ好みにはならない。



























第1部から第3部までの挿絵をざっと物語のとおりに並べてみたけれど、これはフランス語。英語版ならわりと読みやすいかも。

各国で出版されていたはずなので、復刻されるといいけれど、手彩色の「挿絵画集」とは全然違う。でも挿絵としての味はあると思うワタシ。

美術館や図書館にも所蔵されているものもあるとおもうけど、美術館所蔵で1枚だけっていうのがある。あれってバラバラになったのかなって、ちょっと残念。

なによりも手彩色の「挿絵画集」はどうなったの?


 
遠国の姫君 ルフェーブル・ユティル社のビスケットのポスター 


  


このサラ・ヴェルナール扮するのが「遠国の姫君」のトリポリのメリザンド。膝下の文字は、サラ直筆で「ルフェーブル・ユティルのビスケットほどに美味しいものを知らないわ。」って書いてあるらしい。

トリポリ伯の娘メリザンドって10世紀頃に実在していたけれど、トリポリという国はアンティオキア公国からの婿を迎えて13世紀くらいまであった国。

「遠国の姫君」 は13世紀のトリポリの王女メリザンドとフランスの騎士ジョフロワの悲恋の伝説らしく、サラ・ベルナールの主演にミュシャは舞台衣装からアクセサリーまで手がけたそう。

この伝説から誕生したのが、 ロベール・ド・フレールの「トリポリの姫君イルゼ」。

1952年のオペラでは、アキテーヌの城に住むジョフレ・リュデルと、トリポリの砦に住む女クレマンスの運命の出会いの「彼方からの愛」っていうのがある。中世の騎士道伝説からっていうけれど、トリポリという国はよほどロマンティックなイメージがあったのかな。



ミュシャのポスター ご存知のサラ・ベルナール


  



ハムレット 1899





ジスモンダ 1895





椿姫 1896 ボストン美術館






ロレンザッチョ 1896





サマリアの女 1897 MoMAにも所蔵されてる。



 



メディア  1898

 
 



トスカ 1899





 リギア 1901





サラ・ベルナール 絵葉書からのリトグラフ
口元を閉じている方です。(歯がみているものも)
ウォーセスター美術館にもある


 
ラ・プリュム サラ・ベルナール 1896

日本でも杉浦非水、藤島武二などがアール・ヌーヴォーの世界を映し出した。藤島武二の「明星」の挿絵はこのミュシャのポスターとそっくり。このサラ・ベルナールもその一枚。

与謝野晶子の「みだれ髪」の表紙も藤島武二だけれど、ワタシあんまり好きじゃなかった。

母の遺品のなかの1冊だったし。昭和一桁の発行年数。


(0) cmts.  (0) tbks.  文学

04.26.2010@21:20

オフィーリアの狂気

日本のオフィーリア好きは、やっぱり夏目漱石が根付かせたのかな。それともランボーの詩を訳した中原中也だろうか。

ミレイの描いた「オフィーリア」に群がる人々はみんな同じことをいう。

「美しい花」
「美しいオフィーリア」

これが常識なんだろうか、と思っていたら、よかった、よかった。やっぱり「美のオフィーリア賛歌」じゃないよ、とあった。





Mary Catherine Bolton as Ophelia 1813このオフィーリアに扮した人は英国の女優で、メアリ・キャサリン・ボルトン。

このタイトルも「オフィーリアのメアリ・キャサリン・ボルトン」(1813年)です。

白いドレスに花篭を持っている。

結局は女優の肖像画だから、「狂気」と「水」の気配はないものの、「花の女神フローラ」っぽい。

この記事にあるのです。
「オフィーリア 水の精 花の女神」

それで「美のオフィーリア賛歌」じゃないっていうのが
オフィーリア  Ophelia」

引用させていただくと
「わたしは溺死という悲劇的な醜さの手前にいる「儚い美しさ」(ヴァニタス)を描いたのだと思います。

(略)

ミレイに限らず、画家たちは「オフィーリアの美」を賛美しているのではなく、「女性を象徴する水死のイメージ」を賛美し、「女性の狂気の無邪気さと怪しさ」を賛美し、「女性を象徴する生殖と性愛」の対象として賛美していたのでしょう。」

あぁ、そうかって喜んじゃいました。






ワタシの感性が非常識なのかって思っていたけれど、オフィーリアはミレイに限らず、あまり心地よい気がしない。

たとえば部屋に飾ってみたいものかというとNO!

好きなものは、手に入れたいと思いませんか?ところがこの「オフィーリア」は、ポストカードさえも欲しくない。

特にミレイのオフィーリア。処女の少女が処女のままの姿で亡くなっていくいわゆる原罪のないこのオフィーリアが、性愛に目覚めた特有の少女の顔つき。

わたしも一人子供(息子ですが)を育てて、息子の幼稚園からいっしょだったご近所のお嬢さんたちを見かけ、思わずゾッとするのは、性愛に目覚めた顔つき、そして性愛を知った顔つきに変わってしまったあの表情。

実は女の子のママって気が付かない。男の子のママに気が付く人が多い。ママと娘は同性同士だからでしょうか?


 




これはイギリスの版画の1枚。一瞬美しくみえるけれど、なんだか妖しさと潜んだ狂気がみえる感じ。「オフィーリア 水の精 花の女神」で、オフィーリア・コンプレックス(女性の狂気)やオフェリア幻想(水と女性の死)を知ったけれど、19世紀は失恋した女性(傷物扱いの女性)が水死を選んだようです。

溺死は「どざえもん」といって、ひどく膨らむ。

「−(略)−渾身暴皮ふとりたるを土左衞門(力士の名)の如しと戲(たわむ)ゐひしがつひに方言となりしと云」

ランボーの詩を中也が訳した「オフェリア」を、こちらのブログで記事にしています。

「モダンヌ・オフィーリア ランボーのオフェリア」

ここで訳されたなかに
「蒼白のオフェリア漂ふ、大百合か、」
「雪の如くも美しい、おゝ蒼ざめたオフェリアよ、」
「眞っ白白のオフェリアが、大きな百合かと漂つてゐたと。」

これって水に浮いた水死体のことを力士の成瀬川土左衛門にたとえた「どざえもん」を強調している気がする。

「体が膨れ上がって真っ白に見えることがある」という水死体。「どざえもん」では可哀想だから、中也は「大百合」にしたんだと思う。


 



ロセッティ 「ハムレットとオフィーリア」 1858年


オフィーリアはとても冷酷な態度でハムレットに手紙を返します。ハムレットの困惑した顔。ロセッティの版画。

祈祷書を手に、手紙を返すオフィーリアの名場面のお話しはこちら。

シェイクスピア「ハムレット」から 愛しのオフィーリア

ロセッティの妻エリザベス・シダルは、ミレイの「オフィーリア」のモデルですが、謎の死を遂げています。

このミレイのオフィーリアにインスピレーションを受けた音楽っていうのもあったんだ。

ミレイ オフィーリアの音楽

この謎の死に、ダンテ・ガブリエル・ロセッティは、「神曲」で有名なダンテの恋人ベアトリーチェをエリザベスに重ねて思い出を作品にしています。

こちらの記事にはロセッティのベアトリーチェがある!しかも祭壇画のようにプレデッラ部分があったんだ!

ダンテの神曲 地獄編トピック

このロセッティの作品からわかるように、このオフィーリアはハムレットを見捨てた場面。いつの間に、日本では「オフィーリアが見捨てられて」に変わったのかな?

記事「オフィーリア Ophelia」でも、ここからリンクされている記事には、「オフィーリアが見捨てた」とあります。

ところが、次の場面のハムレットの劇中劇のシーンではハムレットがオフィーリアの横で観劇している。




The Play Szene in Hamlet Abbey Edwin Austin

ハムレットの劇中劇の場面 エドウィン・オースティン・アビー


こちらの記事「詩は有声の絵、絵画は無声の詩 ハムレットから」にダニエル・マクリース(Daniel Maclise)の描いたハムレットの劇中劇の作品が掲載されています。その作品は劇中劇で役者が演じているところまで描かれています。

膝の近くまで頭を寄せて、手紙を返したオフィーリアはそんなことも忘れているかのように。

しかも空々しい表情は、何を考えているんだろうと思わせる。

ダニエル・マクリースの描いた劇中劇のオフィーリアは、どちらかというと穏やかにハムレットをみていた気がします。

ハムレットは気が狂ったふりをしますが、結局は死んでいく。オフィーリアは本当に気が狂って死んでいく。

ハムレットは母親、オフィーリアは父親、それぞれ異性の親が絡んだ心の悩み。記事「オフィーリア Ophelia」ではエディプス・コンプレックスだとあったが、そうかもしれない。

そして二人はそれぞれ男と女の死に方にふさわしく亡くなっていく。ハムレットは剣で、オフィーリアは水で。

(0) cmts.  (3) tbks.  文学

12.06.2009@17:50

アリス 第5章 イモムシの助言



芋虫 (The Caterpillar)のマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)
「Alice」 VOGUE 2003 by アニー・リーボヴィッツ (Annie Leibovitz)
(c)www.style.com/Vogue


今年ももうすぐ終わってしまう・・・、ということはティム・バートンのアリスももうすぐってこと。

前回記事を書いたら、アニーー・リーボヴィッツのアリスを紹介しているものがたくさんあって、ようやく1枚アップできるようになりました。

第5章 芋虫からの助言 “Advice from a Caterpillar”に登場する、いもむしのモデルがマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)で、アリスは彼のデザインしたシフォンのミニドレスを着てる。2003年にVOGUEで特集になったらしい。

1997年からはルイ・ヴィトンのプレタポルテのデザイナーをしながら、「マーク・ジェイコブス」のブランドを立ち上げているけど、まじに高かった。50%OFFのニットが40,000超えた。

マーク・ジェイコブズはこのくらいにして・・・。

今日は第5章のおはなしを。というかKAFKAさんが第6章を意訳して、すてきな挿画をアップしているので連続させたいって思ったのですが、訳はご勘弁を。


KAFKAさん 不思議の国のアリス 第6章 チェシャ猫登場
なお、もうひとりの濃いキャラクター公爵夫人についてのモデルだった伯爵夫人とそのかっこいい肖像画のはか、彼女の生涯も紹介されています。




ルイス・キャロルが画いたいもむし


邦訳では芋虫の助言のほかに、イモムシの入れ知恵なんていうタイトルもあるようです。

第4章の白兎、ビルをおつかいにの最後に登場するイモムシで、どういうキャラクターなのかがわかります。

アリスはこのときまともな身の丈ではありません。

「ワタシヲオノミ」
「ワタシヲオタベ」

こんなかんじで背が大きくなったり、小さくなったりで、イモムシとの出会いは、小さくなったアリスが食べ物を探している途中。

おおぶりのキノコが一本。背伸びをすると、そこには大きな青い芋虫が。ながい水煙管をゆっくり静かにくゆらせている。

すべてのものに関心がない。世捨て人のようなイモムシ。ここで第3章はお終い。

こうして第4章がはじまります。




画像引用 不思議の国のアリス 新樹社
第5章 イモムシの忠告 P85 画 作場知生 


ワタシは、難しく勧考えないタイプなんで、言語論とか論理とか抜きで。いえ、手抜きで。

イモムシとアリスは互いを凝視したまま。 一言も口を開かずに。
この沈黙に耐えかねたのか 水煙管をはすしたイモムシは 眠そうな声で、嫌々「誰?」と聞く

アリスは嫌々聞かれたもので これでは答える気もなくて それで、ちょっとはにかんで
「あのう、わからないんです。 今朝起きたときはわかるんですけど そのあと、何度も変身して。」

こんなやりとりからはじまって

「とすると、自分のからだの大きさが変わったっていうんだ。

「そう思う。覚えていようにも思い出せないし、10分もおなじ大きさでいられないんだもの。」

どんなことを覚えていないんだい?」

「さっき、"ごらんかわいい蜜蜂が"って暗誦した詩がもう覚えていない。」

「じゃぁ。"ウィリアム父さん"を暗誦してごらん。」




アリスが暗誦するウィリアム父さん 空中回転とウナギ
ジョン・テニエルの挿絵


若いものが言いました。
「ウィリアム父さん いい年だ。白髪になり 逆立ちとは、お年に似合わぬことをする。」

ウィリアム父さん、言うことに
「昔は頭が大切で、いまじゃ頭は空っぽだ。だから逆立ちできるのさ。」

若いものが言いました。
「くどいけれど、いいお年。その太ったカラダで空中回転 出入りするのも軽業だ。」

賢い父さん、言うことに
「この膏薬のおかげでね、カラダはこんなに柔らかい。一箱たった一シリング、どうだ二箱買わないか?」

若いものが言いました。
「アゴもガクガク、もういいお年。」
「ガチョウを骨ごと一匹食べる。それは一体どうしたことで。」

ウィリアム父さん、言うことに
「法律好きが幸いに、女房相手に議論して、おかげでアゴはこのとおり。」

若いものが言いました。
「目も良く見え、鼻にはウナギをあやつって、たいした芸当お手の物。」

ウィリアム父さん、言うことに
「三つも答えた、さっさと失せろ。
ヒマなおまえに付き合うもんか。
さぁ行け。ここから蹴落とすぞ。」




アーサー・ラッカムの挿絵

このウィリアム父さんを暗誦しましたが、実は桂冠詩人ロバート・サウジーの「老年の慰めはいかに得らるるや」を暗誦しようとしたアリスでした。この詩は「ウィリアム老翁」というよびかけから始まります。

この詩はアリスには当然でてきません。「違うね。」というイモムシと「違ったかしら」というアリスでつぎの場面にうつるからです。

教訓詩 老年の慰めはいかに得らるるや 

「ウィリアム老翁 いかにもご長寿」 若きものの申しけり
「わずかなる御髪も 灰色に染まりぬ しかし御身はどこまでも健やかに過ごし給う
いざ こと間はむ そのわけを」

「若かりし頃を思いしは」ウィリアム老翁が語るには
「光陰矢のごとく青春は儚し さればわが体と力を みだりに費やさざりき
老いてとぼしくなるまじて」

最初の部分です。こんな詩なんです。

イモムシも老翁ってところでしょうか。気難しく、頑固で、若い人に忍耐を強いるような老人をルイス・キャロルはえがいたのかな。

老人に対する教訓詩としても、これから老いる全ての人、あるいは老人に接する態度として若い人への教訓詩としても、いろいろな読み方で変わってくる。

当のアリスも忍耐強くイモムシに苛々しながら、ようやく身の丈がかわる話しを得たけれど。




画像引用 不思議の国のアリス 新樹社
第5章 イモムシの忠告 P99 画 作場知生


イモムシが去り際に・・・。

「もう片方は高くなり、もう片方は低くなる」とつぶやいた。

アリスは「何が」と聞き返します。

「キノコさ。」

さて、どっちかなとまず右。

身の丈は変わったけれど、こうじゃない。

首からかかとまで縮んだわけ。

腕はなくとも手だけが残ったから良かったものの。

やっとのことで左をかじると・・・。




挿絵 ジョン・テニエル

ジョン・テニエルの挿絵はひかえめ。

アリスは蛇よりもなによりもながい首。森全体を見渡せるのですから。

そこへ鳩がやってきて、わたしの卵を狙っているとアリスを蛇呼ばわり。

かろうじてキノコをかじりながら、4フィートまで身の丈を調整しつつ、広場にでることができました。

そうして見つけた家がKAFKAさんの記事、豚と胡椒の公爵夫人の家だったんです。

そして公爵夫人の家に向かうまでに9インチまで身の丈をかえます。ご苦労さま。

さて、アリスの記事はこれで3つ目

Alice in Wonderland

ティム・バートン アリス


この不思議の国のアリスが、アリス・リデルのクリスマスプレゼントとして贈られたのが1864年。

1862年に、ドジソンことルイス・キャロルは同僚のロビンスン・ダックワース(不思議の国のアリスではあひるで登場)をメンバーに加え、ロリーナ、アリス、イーディスの3姉妹とともに、ボートに乗り込みます。

ダックワースは回想で
「我々のボートのコックス役アリス・リデルのために拵えられ、私の肩越しに語られていった。これは君の即興ですかと尋ねると、そう。漕いではつくり、つくっては漕ぐという具合でね。と答えた」と言ったらしい。

また、
「アリスが  ”ね、ドジソンさん、アリスのお話を私に書いてほしいの"と言った。 (略) 彼はその日の午後を生き生きしたものにしたあの面白い話の思い出せるところを、ほとんど夜を徹してしまったそうだ。」とも回想。



 



サルバドール・ダリ 不思議の国のアリス 1969
イモムシ




以前に記事でも紹介した作家ジョージ・マクドナルドですが、ルイス・キャロルとは親しく、彼にアリスへのプレゼント「地底の国のアリス」を書き上げ、意見を求めました。

それが1863年2月のこと。1864年に仔牛皮の表紙にルイス・キャロルの手書きとイラストがアリスに渡され(残念なことに、のちに新しいのが渡されたために回収されたよう)、1865年に「不思議の国のアリス」が自費出版で出されたわけ。

ドジソンの日記には、マクドナルド一家が出版に賛成でとあったようですが、ダックワースの回想では、ヘンリー・キングズレーとダックワークということになっている?

たぶん、ジョージ・マクドナルドでしょう!

この出版で、加筆した「不思議の国のアリス」にジョン・テニエルが挿絵を依頼され、アリスには知人の娘でメアリー・ヒルトン・バドコックをルイス・キャロルは提案。テニエルとルイス・キャロルは何度か揉めたよう。でも完成。

「地底の国のアリス」は、1886年に出版されたとあります。

1864年のことですが、とうとうリデル夫人は三姉妹にルイス・キャロルとのボート遊びを禁止。

そして1865年のルイス・キャロルの日記。
「(アリスは)とても変わってしまった。つまらなくなってしまった。あのおきまりの厄介な時期なのだろう。」と。
(0) cmts.  (1) tbks.  文学

07.18.2009@00:02

Alice in Wonderland
JUGEMテーマ:洋画
「ALICES ADVENTURES IN WONDERLAND 」が原題の「不思議の国のアリス」

アリスの情報を集めた面白いサイトがあります。
ALICES IN WONDERLAND www.alice-in-wonderland.fsnet.co.uk

ルイス・キャロルの友人でもあるヘンリー・サヴィル・クラークの戯曲版「不思議の国のアリス」や1947年のエヴァ・ル ガリエンヌ(Eva Le Gallienne)のよる「不思議の国のアリス」から、2010年公開のティム・バートン(Tim Burton)のアリスまで、舞台、ミュージカル、映画などたくさんの「アリス情報」満載サイトです。

1947年の「不思議の国のアリス」は、ジョン・テニエル(John Tenniel)に忠実な背景や衣装で、本当に物語からそのまま飛び出したようなキャラクター。

ALICES IN WONDERLAND www.alice-in-wonderland.fsnet.co.uk

演出のエヴァ・ル・ガリエンヌ(1899-1991)は女優でもあるんですけど、とっても美しい。ニューヨークにエヴァ・ル・ガリエンヌ劇場を持ち、古典と現代の融合をはかったといいます。ロッキーのトレーナー役、TV「バットマン」のペンギンを演じたバージェス・メレディスは、ここに所属してました。

この1947年の舞台で気狂い帽子屋を演じるのはリチャード・ウェアリング。ぴったりなキャラクター。チェシャ猫はマーガレット・ウェブスターで、この人は戦前のジャズやブルースで知られる名前ですが、同一人物なのでしょうか。

The Cheshire Cat (Margaret Webster) appears and directs Alice to the Mad Hatter (Richard Waring) and March Hare (Arthur Keegan)。

三月ウサギ のアーサー・キーガンは「地上(ここ)より永遠に」(1953年)、「波止場」(1954年)の映画に出演しています。

アリス役は1955年に「オクラホマ!」、1985年「That's Dancing!」に出演しているBambi Linnではないかと思います。

(C)www.alice-in-wonderland.fsnet.co.uk

ALICES IN WONDERLAND www.alice-in-wonderland.fsnet.co.uk

実は、このアームチェアのアリスは「鏡の国のアリス」の最初の章の挿絵。このシーンをみたときにこの「鏡の国のアリス」を思い出したのでした。

さて、このエヴァ・ル・ガリエンヌのアリスでは、音楽担当がリチャード・アディンセル(Richard Addinsell 1904-1977)です。イギリスの映画音楽作曲家として有名で、1939年の「チップス先生さようなら」、1958年「ニ都物語」のほか、とりわけ1941年の映画「危険な月光 Dangerous Moonlight (別名:戦雲に散る曲 Suicide Squadron)」で作曲した「ワルソー・コンチェルト」が名高いといわれています。

History of Art: ROMANTICISM

(0) cmts.  (0) tbks.  文学

06.15.2009@23:41

スタンダール パルムの僧院
評価:
スタンダール
新潮社
¥ 540
(1984-01)
コメント:「再読する」をおすすめ。源氏物語のように美しい若君が主人公。彼を取り巻く女性たちも、マクベス夫人、よく言えばポンパドゥール夫人に例えられるぐらいの才知とかけひき上手なサンセヴェリナ公爵夫人。そして可憐すぎるくらい可憐なクレリア。面白さは最後にわかる。

評価:
価格: ¥620
ショップ: 楽天ブックス
コメント:このカバーのイラストに描かれているのが美貌を誇るファブリスなのでしょうか。自己満足のためにあらゆる人々を奔走させ、心はいつも自分だけを見つめている。八木美穂子さんの装画は見事に彼の人間性を描いています。

JUGEMテーマ:小説全般

ようやく終わったというのが正直な感想。

主人公ファブリスはいつも女性に助けられる。そうして彼自身も周囲も、なぜか幸福感に満たされるという物語。

相思相愛のファブリスとクラリス(クレセンチ侯爵夫人)ですが、彼女の誓いのため闇の密会を重ねるという「穢れなき悪戯」のようなアホらしさも、純粋、可憐、情熱というものに代替されていきます。

この物語の本当の主人公は、マクベス夫人の凄まじさとポンパドゥール夫人のように才知と駆け引き上手な「サンセヴェリナ公爵夫人」かもしれません。

ファブリスが人殺しをしても、恋焦がれる甥のために一肌ぬぐサンセヴェリナ公爵夫人。それだけではありませんけど、彼女の大胆な策略に彼女の周囲の男たちも一肌ぬぐ。毒殺だって厭わない。

この物語はすべて異性という人とのシーソーゲーム。ファブリスは女性。サンセヴェリナ公爵夫人には男性。

ファブリスのために尽くすことが幸福な女性たちの一人に、こういう気質のサンセヴェリナ公爵夫人が熱をあげるのも不思議。スタンダールが「生きた、書いた、愛した」時代の象徴的な存在の女性像かもしれませんね。

サンセヴェリナ公爵夫人とやがて結婚することになるモスカ伯爵は、ユングのいわゆる人生の午後を過しているわけだったり、読む側の年齢でも感ずるところが多いかもしれない。

再読することで、いろいろな因果関係、人の心の機微が手に取るように伝わってくる。

作者スタンダールの名言もよく見聞きするけれど、「恋愛論」、「赤と黒」からが多い。「パルムの僧院」からはほとんど覚えがない。日本受けしないのかな?

「恋というものはなんとおそろしい情熱だろうか。それなのに世間の嘘つきどもは、恋をあたかも幸福の源泉のように言っている。 」なんてひとつだけ取り上げられていました。月並みすぎません?

スタンダリアンでは「赤と黒」、「パルムの僧院」どちらが代表作かと論じられるそうだけど、日本じゃ「赤と黒」が代表作だね。

ワタシとしては、滅多にこういう長編はないから、「パルムの僧院」としておこう。

(0) cmts.  (0) tbks.  文学

06.14.2009@19:32

アンネの日記 永久展示

アンネの一家の生き残りでもあるオットー・フランク(Otto Frank)氏。

ワタシ、あの言葉が好きだったな。
きっとこの言葉が好きだった人、いるだろうな。
今度、ブログで検索してみよう。

「わたしの望みは死んでからもなお行き続けること!」

この言葉は1944年4月5日の日記です。
これからの未来の自分は結婚して、子供を生んで、そして家事に専念することではなく、「わたしはぜひとも何かを得たい」と。

新聞記者、作家の夢があったアンネ。死んでからもなお名の残る仕事をしたいと願っていたアンネ。

まったく別のかたちで実現してしまったのですね。

(0) cmts.  (0) tbks.  文学
 1/1 

01
02
03
04
05
00